初回相談では、実際に何をするのか― AI時代の経営判断支援の中身 ― |
「初回相談では、何をされるのですか」
これは、AI時代の経営判断支援について、最も多く受ける質問の一つです。
結論から言えば、
経営者を評価したり、診断したり、正解を提示する場ではありません。
初回相談で行うのは、
経営者が“自分で判断できる状態”に戻るための整理です。
■ ① 今、判断が重くなっている場面を一つだけ扱います
初回相談では、
会社全体の問題や過去の経緯をすべて伺うことはしません。
- 今、決めきれずに止まっていること
- 迷いが長引いているテーマ
- 判断するたびに疲れてしまう領域
この中から、一つだけを扱います。
理由は単純です。
判断の構造は、テーマが一つでも十分に見えるからです。
■ ② 事実・選択肢・感情を切り分けます
判断が重くなっているとき、
多くの場合、次のものが混ざっています。
- 起きている事実
- 考えている選択肢
- 引っかかっている感情や違和感
初回相談では、
これらを無理に掘り下げるのではなく、
静かに切り分けていきます。
切り分けが進むだけで、
「何に迷っていたのか」が自然と見えてきます。
■ ③ 判断軸を言葉にします
多くの経営者は、
判断軸を「持っていない」のではありません。
言葉になっていないだけです。
- 何を大切にしているのか
- どこは譲れないのか
- どこまでなら引き受けられるのか
初回相談では、
こうした判断軸を無理に作ることはしません。
すでにあるものを、
使える言葉に整えるだけです。
■ ④ AIを使う場合も「確認」にとどめます
必要に応じて、
AIを使って考えを整理する場面もあります。
ただし行うのは、
- 情報を広げすぎないための確認
- 思考の前提がズレていないかのチェック
に限定します。
AIに答えを出させることはありません。
あくまで、経営者の思考を照らす補助線として使います。
■ ⑤ 結論は、その場で出さなくても構いません
初回相談の目的は、
その場で結論を出すことではありません。
- 判断の重さがどこから来ているのか
- どこに立ち戻ればよいのか
これが見えれば、
経営者は自分のペースで決断できます。
実際には、
相談後しばらくしてから
「自然に決められた」という声も多くあります。
■ 最後に:初回相談で起きていること
初回相談で起きているのは、
アドバイスや指導ではありません。
- 思考の交通整理
- 判断の位置の確認
- 考えるべき場所への復帰
それだけです。
AI時代の経営判断支援は、
経営者に代わって考えるものではありません。
経営者が、
自分で考え、決められる状態に戻るための支援です。
AI時代の経営判断支援が合わないケース |
AI時代の経営判断支援は、
すべての経営者・すべての企業に向いた支援ではありません。
むしろ、
合わないケースのほうが、はっきりしています。
あらかじめお伝えしておいたほうが、
お互いに無駄がありません。
■ 合わない①
「正解」や「結論」を求めている場合
この支援では、
「何が正しいか」「どれを選ぶべきか」
といった答えを提示しません。
- 正解を教えてほしい
- 最適解を決めてほしい
- 判断の責任を引き取ってほしい
こうした期待を持っている場合、
この支援は合いません。
最終判断は、
常に経営者ご本人が行います。
■ 合わない②
AIやITを“魔法の道具”として期待している場合
- AIを入れれば経営が楽になる
- 判断を自動化できる
- 人の代わりに考えてくれる
このような前提でAIを捉えている場合、
期待とのギャップが生じます。
AI時代の経営判断支援は、
考えることを減らす支援ではありません。
考える「位置」を整える支援です。
■ 合わない③
自分の考えを見直すつもりがない場合
この支援では、
経営者ご自身の判断軸に向き合います。
- これまでのやり方を変える気はない
- 自分の判断に疑問を持ちたくない
- 外部の視点は不要だと思っている
こうした場合、
整理は進みません。
この支援は、
考えを否定するものではありませんが、
見直しの余地がない場合には機能しません。
■ 合わない④
すでに判断が固まり、迷いがない場合
- 進む方向が明確
- 判断に迷いがない
- 決断に疲れていない
こうした状態であれば、
無理にこの支援を受ける必要はありません。
AI時代の経営判断支援は、
判断が重くなっているときのための支援です。
■ 合うのは、こんなときです
逆に、次のような状態であれば、
この支援は力を発揮します。
- 判断するたびに疲れを感じる
- 情報が増え、迷いが長引いている
- 正解よりも「納得して決めたい」と感じている
- 一度、立ち戻る場所を整理したい
■ 最後に
AI時代の経営判断支援は、
万能なサービスではありません。
ただし、
判断の位置を見失っているときには、
非常にシンプルで効果的な整理になります。
合わない場合は、
無理に進めることはありません。
その判断もまた、
経営者ご自身が下すべき大切な決断だからです。