定期訪問は、“売り込み”ではありません。お客様の確保です。
これを営業の売り込みのように話を持って行くと、売った後に訪問しなくなったり、営業マンの都合で顧客を回ったりするようになります。
そうなるとお客様からそっぽを向かれてしまいます。
「訪問しなければお客様を他社に取られるのだ」と認識して、「お客様の確保」を目的として定期訪問をおこなってください。
ここで大切なことは、得意先別売上年計表や売上高ABC分析表を元に営業担当の意見も聞いた上で「得意先の格付」を行うのです。
最重要得意先をS、重要得意先をA、安定得意先をB、その他Cといったように、分類をします。
そして、Sランクの得意先へ社長は月に1回訪問、部長は月2回訪問、担当は週に2回のように「得意先訪問基準表」を策定します。
これが定期訪問の基準になります。
次に基準表に基づいて、各人一人ずつ月のカレンダーを用意します。それに訪問計画を具体的に書き込みます。
例えば、社長を含め8人が訪問するとしますと、8名分のカレンダーを用意し、計画と実績を人目で分かるようにするのです。
2月度 訪問計画表 氏名 ◯◯
得意先 | ランク | 訪問回数 | 1(月) | 2(火) | 3(水) | 4(木) | 5(金) | |
◯社 | S | 8 | 計画 | ◯ | ||||
実績 |
| |||||||
△社 | A | 4 | 計画 | ◯ | ||||
実績 |
| ◯ | ||||||
❑社 | B | 2 | 計画 | ◯ | ||||
実績 | 出張 |
この図では書いていませんが、計画の◯と実績の◯を→で結びますと、計画と実績がどうなっているのかが、一目で分かるようになります。
ただ、この計画を何がなんでも厳格に守らせようとしてもいけません。クレーム処理が発生したり、急な出張が入ることもあるからです。
1か月の範囲では、どうしても回れないときがあれば、無理やり訪問を入れるところまではしなくて、次月に回れば良いと思います。
要は1か月の未達は理由があればOkとして、2か月の中で定期訪問を確実にやれば良いというルールにすればいいでしょう。
4.営業マンの定期訪問のポイントとは? |
訪問計画もでき、実際に営業マンが定期訪問することになったとしましょう。
先程から定期訪問は「売り込みではなく、お客様確保である」と言って来ました。
では、どのような訪問をすれば良いかが次のポイントになります。
訪問時間はアポなしで、10分くらいが良いでしょう。格付の高い得意先へは曜日を決めて訪問してもいいと思います。
もしご担当者が不在の場合、出てくれない場合は、置き名刺にメッセージを残しておきます。
担当者とお会いできた場合は長居をすることなく、日頃のお礼を述べて「何か弊社の商品(サービス)でご迷惑をおかけしておりませんか?」とお聞きするくらいで良いでしょう。
もしサービスを提供している期間が過ぎていたら、先方が興味を持つような面白い情報をコピーして持っていくのも手だと思います(新聞、雑誌、ブログなど)。
私が管理部長をしていたときに、売り込みに来る営業マンはたくさんいました。
嫌だったパターンは
1.売る前は何度も来ていたのに、売れた途端、全く来なくなって、ほったらかしにした人
2.派遣会社にあったケースですが、変な芝居をする人(「一所懸命やってます!」、を口先だけで演技としてやっている人)
この2つです。
物を売る前も、売った後も、きちんと顔を出して状況を確認する人には好感を持てましたし、誠意がある人かどうかは分かるものです。
単に性能・価格だけではなく、「この人(営業)が薦めてくれる製品なら」という観点で製品を決めることが多かったです。
仮に今回はその人(営業)の製品を購入できなくても、「いつかは発注してあげたい」という気持ちは残るものなんですね。
そして、そうした機会がやってきたら、「今度は◯◯さんから、買いますよ」って、なるんです。真面目に定期訪問を続けていたら、きっとチャンスは与えられるんですね。
それを一度の商談結果で諦めてしまうから、仕事がもらえなくなるのです。
だから私は営業マンは「口八丁手八丁」の人ではなく、朴訥でいいから真面目な人、とくに女性がいいと思っています。
話すのが上手ではなくてもいいんです。定期訪問をきちんと守れる女性なり、男性を営業に雇うことがベストです。
それから営業マンには、次の2つを報告するように指導してください。
お客様に言われたこと
競合会社について見たり、聞いたりしたこと
この2つは、社長が知るべき優先的な情報になります。
何時から何時にどこの会社に行きました、のような日報がありますが、そうした内容に意味はありません。
上記の2つだけを報告するように義務付ければ良いと思います。ここに大きなヒントが隠されています。
受注等はまた別の形式で報告するようにすればいいのです。
5.ノンカスタマーに注目せよ! |
さて、事業戦略において、社長や営業マンのお客様の定期訪問を書きました。
もう一つ重要なことは、市場の変化の最初の兆候は、非顧客(ノンカスタマー)に現れることです。
ノンカスタマーの関心が今どこにあるのかを研究するようにしてください。
ノンカスタマーとは、本来わが社の顧客なってもおかしくないのに、顧客になっていない人のことです。
ノンカスタマーに、市場の変化の兆候が現れます。
以上、市場戦略の核の部分をお話ししました。貴社発展の参考になれば幸いです。