二人三脚でつくるビジネスの未来 |
1.はじめに: 「二人三脚で進む経営」
皆さんの中には夫婦で経営しておられる人がたくさんいらっしゃると思います。
夫が代表取締役社長で、妻が取締役というケースがほとんどですよね。
大抵は、夫が営業兼事業全体の統括、そして妻が総務経理など管理部門全体を見ているという組織ですね。
私の過去16年間の中小企業の顧問先を見ても、半分は夫婦経営でしたし、その役割分担はほとんどが上記のものでした。
夫婦経営はうまくいっていると会社がむちゃくちゃ伸びますが、もめ事が多いのも夫婦経営の特徴です(笑)。
読者の皆さんも、妻だったら、「社長(夫)がいつも私に相談をしないで勝手なことをやっている」という不満がありませんか?
夫だったら、「取締役(妻)が、いちいち反対してうるさい」と思っていませんか?
いつもお互いに腹を立てているのではないでしょうか。
しかしながら、夫婦という最も身近で信頼できるパートナーとともにビジネスを築くこと。それは課題も多いですが、無限の可能性も秘めているのです。
ケンカが絶えない夫婦経営の会社だと、夫婦経営の良さなんてあるのかなと思うかもしれませんが、夫婦経営には強みがあります。
では、夫婦経営の強みを次に述べましょう。
2.夫婦経営の強みと挑戦
①信頼が土台となる強固なパートナーシップ
夫婦間では深い信頼関係がすでに構築されています(たとえケンカが絶えないとしても)。
この信頼は、ビジネス上の困難な決断をする際に大きな支えとなり、より効率的かつ迅速な判断を可能にします。
例えば、「このアイデアは成功するか?」という議論で、互いの意見を心から尊重できる環境は非常に貴重なんです。
②共通のビジョンを共有しやすい
夫婦は、家庭生活においても共有する目標や価値観を持つことが一般的です。
これがビジネスにも自然と適用され、長期的なビジョンを一致させやすくなります。
ビジョンが一致していれば、方向性の違いによる混乱を避け、効率的に進めることができます。
③互いに補完し合う強みの活用
ビジネスにおいては、チームメンバーが互いに補完し合うことが成功への鍵となります。
夫婦はそれぞれ異なる得意分野やスキルを持つことが多く、それらを最大限活用することでビジネスのパフォーマンスを向上させることができます。
たとえば、片方が営業に強い一方で、もう片方がお金に対してしっかりしているという場合、理想的な連携が生まれます。
④感情的な支え合い
ビジネスはしばしばストレスや挑戦に満ちています。
夫婦やパートナーが共に歩む場合、ビジネスの中で困難に直面した際に、感情的な支え合いが可能です。
この支えがあることで、持続的に高いモチベーションを維持し、困難を乗り越える力が湧いてきます。
⑤家族経営の温かみで顧客の共感を呼ぶ
夫婦経営はその温かみや親しみやすさを持っており、顧客との関係構築においてプラスの効果を生むことがあります。
顧客が「信頼できる人たちが心を込めて運営している」と感じることで、リピーターやファンが増加しやすいのです。
⑥長期的な視点での成長を支える
個人が単独で経営に取り組む場合、どうしても短期的な目標に集中しがちです。
しかし、夫婦経営では長期的な家庭や生活とのバランスを考え、ビジネスも成長させる持続可能なプランを作る傾向があります。
以上が夫婦経営の強みですが、一方、夫婦経営には挑戦すべき課題もあります。
①挑戦すべき課題とは何か
夫婦経営では、3つほど挑戦すべき、克服すべき課題があります。(私はあえて挑戦という言葉を使っています)
一つ目は、役割分担の難しさです。
夫婦で業務が営業と経理に分かれていたとしても、経営判断になるとお互いに知らんぷりはできません。
妻は経理だとしても現場がおかしいと思ったら意見を言いたいでしょう。
逆に夫からすれば「自分は社長なのだから口出しするな」という感情になります。
あるいは、何か大きな投資をするということになれば、意見が合わないことも当然あります。
では、こういった場合どうすればいいでしょうか。
まずは役割分担を明確にするミーティングが必要です。
できれば、第三者のコンサルタントなどに一緒に入ってもらうといいでしょう(夫婦二人だけだとうまくいかない可能性が高いです。私も顧問先のミーティングによく出席していましたが、その方がうまくいっています)。
そして、夫婦の強みを分析し、強みによって業務を分担します。
それを書面にします。簡単なリストでいいです。どの分野に誰が責任を持つかを明確にします。
ただし、会社には投資をする案件や採用など、一人で決めない、進めない方がよいことがあります。
これらは、例えば投資だったら、いくら以上の支出は社長と取締役双方の承認がいるというように、金額で線引きするのです。
採用も重要な経営判断の一つですから、社長、取締役双方の承認が必要であると明記するといいです。
重要なことは必ず一人で決めないということにして、それを書面にリスト化しておくといいでしょう。
二つ目の挑戦すべき課題は、仕事とプライベートの境界線です。
仕事の話題が家庭でも続いてしまい、リラックスする時間が取れないということがよくあります。
また、プライベートでの感情が仕事に悪影響を与えることもままあります。
お互いに人間ですから、いつも夫婦円満というわけにもいかず、いろいろありますよね(笑)。
これらの解決策は、家庭では仕事の話をしない「無仕事タイム」を設定することが一つ。
それから、家庭内での問題が仕事に影響しないよう、冷静な話し合いを心がけること。
そして、自宅を会社として使っている場合は、仕事専用スペースを設け、仕事と家庭を物理的に区分することも必要でしょう。
まぁ、これは「言うは易く行うは難し」でしょうね。ただ、お互いに”そうしよう”と思うことが大切ですよ。
三つ目の挑戦すべき課題は、コミュニケーションのギャップが引き起こす誤解です。
お互いの期待や意思が正確に伝わらないことで、誤解が生じることがあります。
結果、ストレスがたまり、業務に悪影響を及ぼすことがありますね。
これへの解決策は、定期的なミーティングでお互いの考えを整理・共有することですね。前に述べたように、コンサルタントなど、第三者を入れたミーティングをするといいでしょう。
夫婦二人だけのミーティングだと、こじれた場合に修復がむずかしくなりますし、時間を無駄にします。経営全般に理解のある人に入ってもらう方がベストです。
それから、感情を抑えた「建設的な話し合い」を行う習慣をつけましょう。これも一つの訓練ですが、心がけるだけで違います。
そして、問題が発生したら早めに対処するよう心がけてください。
コミュニケーションギャップが残ったままにしておくのは良くないので、早めの話し合いの場を設けましょう。
3. 二人三脚を成功させるための秘訣
さて、夫婦経営の強みや課題をいろいろと述べましたが、ここで夫婦経営を二人三脚で成功させるための秘訣をまとめておきます。
①役割と責任の明確化
お互いの強み、得意分野を活かし、明確な役割分担をしてください。
役割分担を書面化し、採用や投資など重要な意思決定を要するものは夫婦二人の承認が必要であることを明記しましょう。
念のために書きますが、夫婦どちらかが反対した人は採用しないし、どちらかが反対した投資案件はしないということです。
②効果的なコミュニケーション
定例ミーティングや、問題が発生した際の話し合いの場を設けることです。
定例ミーティングにはコンサルタントなど、第三者を入れましょう。私の経験上その方がうまくいきます。
③仕事と家庭のバランス
仕事とプライベートの線引きをし、パートナーとしての時間も大切にしてください。
時間外はできるだけ仕事の話をしない、休みの日には仕事のことを考えるのではなく、二人で出かけたり、食事に行ったりと、気分転換を図ってください。
決して自分の仕事を邪魔する者だとか、ダメな経営者だとか思うのではなく、大切なパートナーという気持ちも忘れないでくださいね。
4. まとめ: 二人三脚の未来を描こう
夫婦経営についていろいろと書いてみました。
私が出会った夫婦経営の会社は経営しながらケンカをしている場合が多かったです。
ケンカまでしていなくても、奥様がじっと我慢して、耐えている場合を何社も見てきました。
夫婦円満の会社はまれなんだろうと思います。
人間だし、完璧なことはできません。
夫婦はお互いに違う視点から経営を見ているので、同じものを見ていても違うように見えるのです。
だから、大切なのは、「そういう視点もあるのだな」と相手の視点を理解しようとする気持ちです。
心の余裕と言っても良いのかもしれません。
そして、相手を尊敬する気持ちを持ってください。
相手に敬意を持つことができれば、プライベートの夫婦関係も、仕事の関係も良くなるはずです。
頑張っているところをお互いに認めましょう。
夫婦二人とも、家庭を守り、会社をつぶさないように頑張っているのですから。
夫婦で共に作るビジネスの未来。
それはただの夢ではなく、みなさん次第で現実となるストーリーです。
夫婦二人で、大きなビジョンを描き、ともに未来を作っていってください。