商売がうまくいかないとき、妻はどうするべきか?
 
夫が事業をやっていて、商売がうまくいかないときがあるでしょう。そんな時、妻はどうするべきでしょうか?
 
まずは、うそでもいいから、明るくふるまうことですね。
 
笑顔で、「大丈夫だよ」と声を掛けてあげてください。実際には”ヤバイ”状態かもしれませんけど、奥さんが明るく励ましてくれると救われるところがあります。
 
その少し救われた気持ちのところから、次の手や解決方法を思いつくこともありますので、悲観せずに、支えてあげてください。
 
 
次に、夫とは全く別の視点からアドバイスをしてあげることが一つです。
 
商売がうまくいっていないときは、夫の視野が狭くなっているときでもあります。
 
本来、平常なら気づくようなことにも気づいていない可能性があるんですね。
 
 
それゆえ、「こういう考え方もできるんじゃない?」とか、「初心に戻って考えてみようよ」とか問いかけて、別の発想を持たせてあげるといいですね。
 
誰か相談できる人がいれば、「○○さんに相談してみたら」と言ってあげるのもいいでしょう。
 
 
特に商売がうまくいかないときに最も大きな問題は、資金繰りのところになりますから、資金のところは注意してみた方がいいですね。
 
ただし、資金が足りないといって、自分の親に借金をしたり、大事にとっている学資保険を解約したりするのは辞めた方がいいです。
 
事業の失敗に家族や親を巻き込んでしまうので、傷が深くならないようにするのも大切です。
 
追い詰められている夫は、「おまえの親に頼んでくれよ」と言ってくるかもしれませんが、親を頼るのはやめて、政府系金融機関の日本政策金融公庫に借り入れをお願いしてみましょう。
 
借入ができないようであれば、事業の撤退を話し合う必要があります。
 
うまくいかないときには、判断がおかしくなっているケースが多いですから、何を優先して守っていくかを、奥さんが夫に教えることも大切です。
 
 
 
    夫婦の間のコツ
 
夫婦経営は地味な毎日の連続だと思います。私の指導教授、上智大学の渡部昇一先生は、結婚式のとき恩師に次のように言われたそうです。
 
「あなた方はケンカすることもあるかもしれないが、そんな時、相手が悪いと思ってはいけない。お互いに立派な人なのである。ただ中が悪いのだ。自分でもない、相手でもない、丁度二人の真中へんが悪いのだと思いなさい。中が悪いのだから、中をよくしなさい。仲よくしなさい」(『知的人間の生きかた新常識』渡部昇一著、青春出版社)
 
 
これは一つの考え方だと思うんですね。
 
相手(妻、又は夫)はそれなりに、友人もいれば、人から好かれているところもある、仕事もできている。それがうまくいかないのは、相手が悪いのではなく、中(仲)が悪いのだという考え方ですね(笑)。
 
相手を責めるのではなく、中を考えろということです。
 
こうした考え方を知っているだけでも、行き過ぎたケンカを防ぐことはできます。
 
頭の片隅にでも置いておいてください(笑)。
 
 
    夫婦経営が離婚になってしまうとき

 夫婦経営のコツの話で、私はなるべく夫婦仲が良くなる方向での話をしてきました。

でも、どうしても相手が許せないとか、「もう無理!」ってこともあると思うんです。

そうなると、離婚しても仕方がないですよね。

 ただ、気を付けていただきたいのは、離婚によって自分をダメなんだと責めないことです。
 
「相手を見る目が無かった」とか、「男性運、女性運が悪い」とか考えないことです。
 
そりゃ、分かりませんよ、相手がどんな人間か。
 
会社の人事を見てください。優秀な人間が人事を担当してるケースが多いでしょうけど、採用でいくらでも失敗しています。
 
「こいつはモノになる」なんて思った人間が辞めることなんて日常茶飯事でしょう。
 
とにかく罪悪感とか、挫折感は持たないでくださいね。
 
離婚によって、あなたの素晴らしさや本来の価値が下がることなんてありませんから。
 
そして、「私は、新しい素敵な人との出会いのチャンスを持つことができるんだ」と考えたらいいですね。
 
もう結婚がこりごりの人は、「これからは、充実した自分の時間を持つことができる」と考えるといいのではないでしょうか。
 
相手を恨むのでもなく、また自分を責めないで、自分の幸せに目を向けて、再出発していただきたいと思います。

 

    仕事の危機と家庭の危機

仕事の危機と家庭の危機」との関連についてお話をしたいと思います。主に夫婦で経営をされている方に参考となる内容かと思いますが、サラリーマンの方や主婦の方にも参考になれば幸いです。

 
仕事と家庭の危機は結構連動しているものです。


パターンは大きく3つあるように思います。


① 仕事の危機 → 家庭の危機
② 家庭の危機 → 仕事の危機
③ 仕事の成功 → 家庭の危機


矢印は、矢の指す方向へ影響が出ていると捉えてください。


①でいいますと、仕事(又は経営)の危機が家庭の危機にまで影響がおよぶというパターンです。

 
少し具体的に言いますと、経営がうまくいかなくて、会社が倒産するとします。そして、その後、家庭がバラバラになったり、離婚したり、子供が反抗したり、家族の心が荒んでしまうような例です。


 これは経営者でなくても、サラリーマンでもあるケースです。


今までは順調に仕事をしていても、市場の環境が急激に変わって、以前のような成果が出せなくなるようなことがあります。

 
あるいは、転職や人事異動などで職場環境が変わり、うまく順応できなかったり、成果が出せなかったりすることもあります。


そうした仕事での失敗によって、極度に落ち込んで自殺願望を持つこともあります。また、心がすさんできて暴力的になったりして、それが家庭に影響して壊れることがあります。

 
よくあるケースが離婚です。

 
収入が減ったり、ストレスが増えたりして、それが家庭内でうまく処理ができずに夫婦喧嘩になってしまったり、相手を責めたりして、結局は離婚してしまうパターンです。


そして、夫婦が喧嘩しているところでは、子供さんが一番つらい目にあいます。 不登校になって引きこもりになったり、暴力をふるうようになったりなど、何らかの不調を訴えることがあるかと思います。


仕事の危機が家庭に悪影響をおよぼすことをお話しましたが、逆に家庭の危機が仕事へ悪影響を及ぼすパターンもあります。

 
それが②です。


①とは逆のパターンで、家庭の危機が、仕事の危機につながってしまうケースです。

 
② 家庭の危機 → 仕事の危機 これは、元々あまり夫婦仲がよくなかった場合だと思われます。
 

離婚するまではいかなかったけれども、結婚当初から、どうも夫婦関係がしっくりといかないという場合です。
 
そして、こうした夫婦なのですが、夫婦のどちらかが会社設立を提案して(大抵の場合は夫だと思います)、この時は夫婦の意見が一致し、事業を始めます。
 
しばらくはいいのですが、だんだんと夫婦喧嘩が絶えなくなり、それが経営に影響していきます。

どちらが経営のリーダーシップを取るかで、もめるくらいならまだいいでしょう。
 
ところが、経営者夫婦が離婚すると、事業をどちらが握るかで争うことも起きます。
 
中には離婚はしたが、役員としては残しておかなければいけないので、そのまま続ける場合もありますけどね。

 ただ、最悪なのは、夫婦のどちらかが会社の実印や銀行印を持っていて、一方的に事業やお金を持っていくことです。
 
配偶者のどちらかが、会社の印鑑すべてを持っていたら、こういうこともあるのだというのは知っておいた方が良いと思います。
 
また、夫婦仲が悪いケースだけではなく、子供さんが暴れたり、不登校になったりと、子供に関することで家庭に悩みが起きることもあります。
 
その場合、経営者の場合だけではなく、サラリーマンであっても仕事に影響が出ると思います。

ただし、中には夫がサラリーマンで単身赴任などをして、家のことをほったらかしにして、奥様に子供のことを全部押し付けることもあるでしょう。

そうしたら、奥様の方が精神的に壊れてしまいます。
 
まぁ、夫の方も家庭の問題から逃げていたら、結果的にはどこかで何らかの”躓き”があると思いますが。

 二つのパターンで「仕事の危機と家庭の危機」が強く連動していることを説明しました。

 大事なことは、そうした連動がよくある事実なのだと知っておくことです。

仕事の危機、あるいは家庭の危機が来た時には、別の危機を呼び込みやすいのだということを知っておいてください。
 
 
次に大事なことは、「負けない戦い」をすることですね。

これは、何を守れば最終的に「負けにならないのか」を決め、その線を引くことですね。勝ちではないけれども、ここを守り切ればいいんだというところをはっきりと固めることです。

 例えば、①のケースでは、仕事の危機、会社の倒産などが起きたときに、社長として従業員を路頭に迷わせないというのが負けない線かもしれません。

スポンサー企業を見つけてきて、新しい経営者の元で働けるようにしてあげる方法です。
 
 
また、自分の家族では、仮に家や財産を失っても、子供に学校だけは通わせてあげるというのもあるでしょう。

あるいは、子供たちの心が荒ばないように、子供たちの人間らしさを守るという負けない戦いもあると思います。

 そうした自分なりに立てた「最後の最後に守るべき線、砦」を、どんなことがあっても守ろうと腹をくくることです。
 
そのためにできることは、「地べたに這いつくばるように」してでも、全てやる気持ちが大切ですね。

下げたくない頭を下げることも必要でしょう。市役所、区役所、ハローワークなどの行政や色々な専門家に足しげく通って相談することも必要でしょう。
 
 
とにかく、従業員や家族を守るんだと決めたら、家を取られようが、財産を無くそうが、最後まで守るべきものを死守することです。

 ところで、家庭の危機がスタートの場合はどうするかという問題があります。
先に家庭の危機がある場合の対処方法です。

先に述べましたように、先に家庭の危機がある場合は、元々夫婦仲がよくないというのが多いかと思います。
 
 
考え方の第一は、夫婦間の問題から逃げないことだと思います。

話し合いをするのが面倒だと思うこともあるでしょうし、相手が”どなる”ので話し合いができないということもあるでしょう。
 
ただ、逃げずにきちんと話をしたほうがいいです。

そして、できれば相手の気持ちを理解してあげることが大切だと思います。

お互いに直せるところは直した方がいいですし、不快な思いをさせているところがあるのなら、それは改めたほうがいいでしょう。
 
しかし、なかなか自分を変えられないのが人間です。

相手がすぐに変わることを期待するだけではなくて、時間を待ってあげることも大切かと思います。
 
今はできなくても、時間が経てばできるようになることもありますからね。
 
色々な危機を夫婦で乗り越えながら、年月が過ぎて、一緒に年も取りながら、それなりに落ち着いてくることもいいものですよ。
 
なんともいえない充実感があるものです。

 また、子供さんの問題などは専門のカウンセラーに相談するといいでしょう。

自分たちでは気がつかない原因があるものですし、専門家に入ってもらわないと解決しにくいことも多々あります。
 
夫婦の問題もカウンセラーに相談するといいと思いますね。
 
家庭の問題は、経験したものでないと分からない結構つらいものであります。そして自分たちだけでは解決が難しいものでもあります。
 

ただ、逃げずに、専門家に相談するなり、誠意をもって相手に接することが大事かと思います。

そして、すぐに結果を求めようとせずに、時間を耐えることも必要です。自分中心に考えるのではなく、相手を尊重してあげることが大切ではないでしょうか。
 
 
最後に、③仕事の成功 → 家庭の危機のパターンを説明します。
 
このパターンは、仕事で成功したのはいいが、家庭が壊れる場合が当てはまります。
一つには、仕事が忙しくなりすぎ家庭を顧みなくなって、家族とうまくいかなくなるということがあるでしょう。

また、仕事の成功によって慢心して心にスキができ、女性社員と関係してしまったり、外に愛人を持ったりすることがあると思います。
 
もう一つは、経営がうまくいったので、ついつい能力以上に事業を拡大し、銀行の借り入れが返せなくなるものです。この場合は会社が倒産して、家族が巻き込まれるということになります。

 大事なことは、成功している中に、失敗の芽が入っているということです。
 
人間は大失敗したときにショックで何も考えられないことがありますが、大成功したときにも自分を見失うことがあります。ある意味、有頂天のときの方が危ないと言えるかもしれませんね。
 
「全て自分の思うとおりにことが運ぶ」と思ったときは危ないといえるでしょう。
成功しているときほど、過信をせず、謙虚に事業をすることだと思います。
 
 
倒産する会社は一度や二度は「絶好調期」を経験しています。慢心しないで、心にスキを作らないことですね。
 
成功しても家庭が壊れたら、家族はつらい思いをします。本人もつらいでしょう。
仕事で成功することも大切ですが、家庭に悪影響を与えないところでの線引きは必要かと思います。
 
倒産する会社の社長は慢心しているケースが多いですから、順調なときほど自分にスキがないかどうかを振り返っていただくといいと思います。