研修がうまくいかない原因とは

   
 みなさまの会社では、回数に多い少ないはあるでしょうが、社員に研修を受けさせているのではないでしょうか。

それらの研修は効果がありますか?

全くないというのはあまりないと思いますけれども、効果が持続している研修もあまりないでしょう。

ここで研修がうまくいっていない原因を考えてみましょう。

研修では5種類の利害関係者が存在します。

1.受講者
2.受講者の上司
3.経営陣
4.研修担当者
5.外部研修実施企業の講師及び営業マン


これら5種類の利害関係者が、研修について全く別の思惑を持っていることが、研修がうまくいっていない一つの側面になっています。

まず、1の受講者です。研修を受ける社員は、仕事が忙しくない人なら勤務中なら息抜きができて有難いと思うでしょう。忙しい人なら、勘弁してほしいと思っています。また、内容は楽しくて、ためになればいいと思っています。そして研修が休日や勤務時間外に行われるのでしたら、やめてほしいと思うか、休日出勤の割り増しがないかなと思ったりしています(笑)。


2の受講者の上司は、忙しい時に人を割かないでほしいと考えています。そして、仕事をせずに抜けるのだから、すぐに結果をだしてくれよな、そうしないと意味がないよなと思っています。スペシャリストとしての活躍を期待します。


3の経営陣は、お金を出しているので、費用を無駄にしてほしくないと思っていますし、ジェネラリストとしての活躍を期待します。


4の研修担当者は、研修に社員を行かせることで、とりあえず仕事が終わったと認識しています。あとは無事に研修を終えて帰ってきてほしいと願っています。


5の研修実施企業は次の受注が取れるように考えています(笑)。


このように、それぞれ思惑が違っているので、その社員に合った研修プログラムに行かせているのかは疑問です。

ここで重要な仕事を果たさなければいけないのが、研修担当者です。

 
研修担当者は、普段から社員のインタビューをして社員の課題をつかんでおかなければなりません。

そして経営者からは、社員にどのような社員になってほしいのか、どのようなスキルを身につけてほしいのかを具体的に聞いておくことです。

さて、次が最も大切なことなのですが、社員のキャリアの中で今回の研修がどういった位置づけなのかを社員に伝えることです。

なぜこのような能力やスキルを身につけてほしいのかを、社員個人のキャリア全体の中での位置づけを教えながら、研修の理由を述べるのです。

そうなると、社員は自分のキャリアを考慮に入れた上で研修プログラムが作られていることがわかり、納得するのです。

また上司にも、部下はこういったキャリアを積んでいく中で、こうした能力やスキルを身につけてほしいから、この研修を選んだんだと伝えます。

説明が遅れましたが、各人のキャリアプランは、会社の目標(経営者が期待する社員像)と一致させたもので作っておくことが必要です。

以上をまとめますと、研修担当者は日頃から経営者及び現場のニーズを把握し、社員のキャリアプランを作っておく。

そして、そのキャリアプランの、どのあたりにその社員がいて、どのようなスキルや能力を身につけなければならないかを受講者やその上司に説明した上で研修に参加させる。

きちんと研修について、論理的な説明をできることが、研修受ける人のモチベーションのポイントになってきます。

何か参考になれば幸いです。 
 
 

社員研修の目的とは?

 
経営者の皆様、社員研修の目的は何でしょうか?どのような目的で研修を社員に受けさせようと思っておられますか?

 「会社で成果を上げるようになってほしい」とか、「社会人としての常識を学んで、コミュニケーションが取れるようになって欲しい」とか、「仕事にやる気をもって欲しい」とか、会社によって色々な理由があると思います。

 ここで一点考えていただきたいことは、発想が「会社のために」というところから始まっていないかどうかです。

「当たり前だろう。会社のお金で、勤務時間中に研修に行くのだから、会社にとってプラスになるものでないと困る」と思われるでしょうね。
 
少しきつい言い方ですが、これは「会社にとって都合の良い人材になって欲しい」という発想なのではないでしょうか。

「会社(上司)にとって使いやすい人材、会社にプラスをもたらす人材」になって欲しいという願いです。

私はこうした感情を全て否定する気はありません。

 ただ、「会社のための研修」という発想をしている限り、若い世代、ゆとり世代の共感を得るのは難しいと思います。 会社のための研修という発想の前に、社員の「公私両面の幸せのために研修」を受けてもらいたいという考え方が大切です。

これを砕けた言い方で説明をすると、「研修に行って人間的に成長して、プライベートでも幸せになって欲しいのだ」という感じですね。

 別の言い方なら、次のように言えるでしょう。

「研修を受けて、それを自分の糧にしてほしい。
学びがプラスだったら、会社に恩を返してくれてもいいし、万が一転職することになったら、次の職場で活かしてくれても構わない。
あるいは定年後の第二の人生にもそれが活かされてもいいと思う。
当社はあなたが成長して、あなたの人生が幸せになることを願って研修に行ってもらいたいと考えている」

 このようにですね、「社員の人生をトータルに考えて、ビジネスマンとしての成功だけではなく、一人の人としての幸せにつながるお手伝いをしたいと思っているのだ」ということを伝えるのが大事かと思います。

 会社は社員の人生を本気で思っていることをメッセージとして伝えることです。

社員の人間性、人間力の成長を願い、その成長に伴う幸せを味わってほしいと伝えることです。 (成長すれば、必ず喜びが伴います)

そして、そのメッセージを伝えると同時に、会社は襟を正し、本気で社員のことを考えるようにします。

結局、それが遠回りのようでも、会社も社員も幸せに繁栄する道だと私は思っています。
 
 
 
  社員教育にマスターマインドを使う  1

経営者の方は社員教育について頭を悩ませていることが多いのではないでしょうか。


「自分が思っているように仕事をしてくれない」とか、

「自分がこれだけ頑張って会社や社員のことを考えて経営をしているのに、なんでそんなことをするんだ」とか、

社長の意識と社員の意識とのギャップに、どうすれば良いかと日夜悩んでおられるでしょう。



社員に対する対応に関しては、どんな会社にも多かれ少なかれある悩みだろうと思います。


そこで、これらの社員への接し方についての解決方法として、私は「マスターマインド」の手法をお薦めしたいと思います。


「マスターマインド」ナポレオン・ヒルの著書を読まれた方はご存知だと思いますけど、アンドリュー・カーネギーが成功するために使った手法の一つです。




上記書籍に、「マスターマインド」の定義が書いてあります。引用します。

「明確な目標を達成するための二人ないしはそれ以上の人たちによる、調和された、知恵(そして知識)と努力の協力関係(もしくはそういう関係にある人を指す)」


私は最初ナポレオン・ヒルの書籍を読んだ時に、マスターマインドって何のことか、さっぱり分かりませんでした。

それゆえ、マスターマインドを私流に翻訳して説明をした方が分かりやすいかと思いますので、ある会社で成功した事例を参考にお話をしたいと思います。



私流に翻訳しますと「お互いを理解し、調和している仲間が、知識を共有して目標へ向かって協力すること」ですかね。


一つのキーワードは「調和」ですね。

調和せずに、目標達成に向けて努力するチームはいくらでもありますが、マスターマインドでは調和したメンバーが絶対条件です。


調和したメンバーが知識や知恵を共有しますと、劇的な効果があります。


では具体的にマスターマインドをどのように進めていくのかを次回にお話しましょう。


 
  社員教育にマスターマインドを使う  2
 
社員教育にマスターマインドを使うには、マスターマインドのメンバーが、共有する理念や理想を持っていなければなりません。

それがないと、軸がずれた集まりになってしまい、方向性もバラバラ、内容もトンチンカンなものになってしまいます。

必ずメンバーが共有できる、あるいは共感する理念や理想、ミッションを初めに決めなければいけません。


そして、この理念が土台にあって、その理念に沿って、マスターマインドのミーティングが行われるのです。

最重要なのが、この理念の部分です。



それゆえ、マスターマインドを使おうとする人は、初めに理念や理想、ミッションを策定してください。

会社の経営幹部であれば、経営理念でよろしいかと思います。

管理職、一般職レベルだと、会社全体の経営理念と部署のミッションを組み合わせたものがいいでしょう。


そして、それら理念をメンバーに理解させて、納得してもらいます。
 
メンバーは、その理念に則って日々の仕事を行います。
 
その後、メンバーは、その理念にもとづいて行動した結果をマスターマインドメンバーのミーティングで共有するのです。



例えば、経営理念にもとづいて、あるお客様サービスを行いました。その結果、どのようなことがあったかをメンバーに発表します。

メンバーはその発表を聴き、情報・知識を共有します。

その時のポイントは、決して否定、批判するようは意見は言ってはいけないということです。

結果について、意見があるときは建設的に述べます。

必ず発表者の意見を尊重し、認めてあげてください。

あるいは褒めてあげてください。
 
否定するメンバーが一人でもいると、マスターマインドは失敗しますから、決して否定的な言葉を発する人をメンバーに加えてはいけません。


では、修正した方がよいことがあったら、どうすればいいかといいますと、「こうすれば、もっといい結果になると思うよ」といった前向きな示唆を与えてあげるといいですね。


さて、マスターマインドミーティングで軸になる経営理念の策定についてお話しましたが、もう一つ、重要な考え方があります。


 
  社員教育にマスターマインドを使う 3
 
社員教育にマスターマインドの手法を使うときに、共通理念を設定することの大切さを前項は述べました。


もう一つ大事なことがあります。それは人を宝だと考えることです。

マスターマインドを社員教育に応用するとなると、メンバーは社員が入ってきます。

その社員が理念に沿って行動した結果を発表したり、自分の考えを述べたりしますが、経営者あるいは経営幹部として社員をどう見るかによって、接し方、指導の仕方が全く変わってしまいます。


大切なことは、人は宝であり、誰にでも強みがあることを信じることです。

そして同時に、誰でも「無限の可能性」を持っていることを信じてあげることです。

無限の可能性を信じて、見出してあげて、引き出してあげることです。



こうした大きな愛の思いを経営幹部が持てるかどうかが、とても大切になります。

人を育てる愛の気持ちや、可能性を信じてあげる愛の気持ちが大事です。


こうした大きな愛がベースにあって、マスターマインドを社員教育に応用することができます。

人には個性があり、磨けば輝く、素晴らしいダイヤモンドを持っているのだと信じてあげてください。


それがマスターマインドを社員教育に応用する成功の鍵になります。