神奈川県横浜市の経営コンサルタント古賀光昭

経営計画書は絶対に策定した方が良いです!

 
 
私はコンサルティングの時には、社長に「経営計画書」を書いていただくようお勧めしています。

その時によく言われるのが、次のような言葉です。

「朝礼や会議で私(社長)の考えをよく話すので、社員は経営計画書に書かなくとも、私の考えを理解していると思います。」

ここで回答の代わりに、例え話をしてみます。

オーケストラがあります。

オーケストラを会社だと思ってください。

指揮者は、社長です。

トランペット、バイオリンなどの演奏者は、社員です。

では、経営計画書は何に当たるかと言いますと、楽譜なのです。

楽譜がない状態で、オーケストラに演奏させるとしましょう。

指揮者は、曲のイメージや主旋律を口ずさみます。「何となく、こんな曲かな?」というのは、それぞれの演奏者がつかめるでしょう。

でも、何となくです(笑)。


何となくなので、全体としてまとまった曲にはなりません。自分がどのような旋律を弾けばいいのかは、分からないのです。

楽譜があると、会社がどのような曲を演奏したいと思っているのか(目標です)が分かります。

各人にどのようなことをしてほしいのかも分かります。

演奏し始めたら、今、曲のどのあたりを演奏しているのかも分かります(会社の現在位置が分かります)。

「経営計画書」は絶対に策定した方が良いです。


策定の仕方が分からない方は、御連絡ください。お教えします!
 
 

二者択一の質問に対して何と答えるか?

  
コンサルティングを受けているときに、社長から「右にいくべきか、左にいくべきか」といった二者択一の質問を受けることがあります。
 
こういったケースでは、私はあえて、第三、第四の道を話すようにしています。
 
つまり、右でも左でもない、社長の選択肢にない方法を話すのです。
 
これは何を狙っているかといいますと、社長の発想を広げるのが一つです。

 悩みがあるときには、どうしても近視眼的なものの見方をしてしまいます。
 
ところが、全然違う道を示されると、一気に冷静に物事が見えたり、視野が広くなったりするのです。
 
それによって、仮に最初の右か左かを選ぶことがあっても、それを選択するときに自信もできるのです。


また、もう一つの考えとして、社長が気づいていない経営の盲点をお伝えするというところがあります。

 コンサルタントは第三者です。
 
当事者よりは冷静ですし、横から見ているだけ、当事者が気づいていない点にも気がつきやすいのです。

経営は毎日の判断で盛衰が決まります。
 
過去から現在までの、社長の判断結果が、現在の経営状態です。
 
 
判断をより正しく行うために、別の人の目を上手に利用するといいですね。
 
 
    経営のつらい経験は活かせるときがきっと来る
 
経営をしていますと、理不尽なことがあったり、悔しいことがあったりすると思います。
 
経営って、何かの「修行」(笑)ではないかなと思うところがありますね。

でも、そうした辛いことや苦しいことを経験することが、必ずあとあとプラスになると私は思っています。

例えばですけど、会社の経営理念を策定するとします。
 
苦労もしないで、スイスイと成功した社長が考える経営理念って、どうでしょうか?
深みや味わいの薄いものができるかもしれませんよね。

 それに反して、辛酸を嘗めた社長が、つらい経験の中から見出した「輝ける光のような経営理念」なら、それには魂が入った素晴らしいものになるはずです。

あるいは、苦難を経験した社長が発する言葉には力があるでしょう。
別に苦難が来ることを奨励しているわけではありませんが、苦難を乗り越えた人にだけある境地はあると思うんですね。

 現在只今、つらい状況を経験されている社長。
その経験は決して無駄にはなりません。
必ず、あとでそれを活かせるときが来ます。 
「あ~、あのときの苦労は、この時のためだったのか!」と気づくときがやってきます。

無駄なことは何もありませんので、気持ちを腐らせること無く、頑張ってください。
 
 
 
   経営とは「採算学」と「人間学」
 
経営は、「採算学」と「人間学」の二点に集約されます。
 
そして、この二点は、それぞれ内と外の二つの面があります。
 
「採算学」の外の面は、「売上を上げて、付加価値(売上高から材料費や外注費などの外部価値を引いたもの)をどれだけ稼ぐか」という販売面です。
 
内の面は、「設備資金をいつまでに、どれだけ準備し、返済を毎月いくらずつしていくか」といった財務面になります。
 

「人間学」の外の面は、マーケティングになります。「顧客の立場や意識を知ることと、顧客の意識の変化を知ること」です。

 内の面は、社員に対するものです。人事やリーダーシップが当たります。「人をいかに使えるか。人の気持ちをどこまで想像することができるか」です。
 

 まとめますと、次のようになりますね。
 
経営
 
1.採算学    (1) 販売    (2) 財務

2.人間学    (1) マーケティング    (2) 人事

もちろん、製造や製品開発など、他にも重要な要素がありますが、経営については、「採算」と「人」について見識を持って、かつ実行できないといけないということですね。
 
 
人の心が分からないと、組織を率いていくことはできませんし、人々が求める新製品の開発もできません。
 
あるいは、お金の流れに対して無頓着だと資金ショートを起こす可能性がありますし、収益を上げることができないと、そもそも会社が成り立ちません。

ただし、経営には複数の異なった能力が必要とされます。
 
この体系でも4つの異なった機能が出ました。
 
一人の経営者で、これらの機能をすべてを兼ねる能力を持つことは不可能に近いことです。
 
たとえ、4つの能力を社長が兼ね備えているとしても、全てを社長がすることは、社長が本来優先すべきことを行う時間を減らすことになります。
 
 
それでは、社長の強みを活かすことになりません。
 
 
経営には最低でも4つの要素(機能)があり、他者の協力をうまく利用することが、結局は社長の強みをいかし、会社の繁栄につながるのです。
 
 
 
    社員のモチベーションを上げる方法
  
今日はモチベーションを上げる方法について述べたいと思います。
 
以前、FC2の「古賀光昭のビジネス相談」というブログに、モチベーションアップの方法をいくつか書いていました。
 
意欲を高める方法
 
マネージャーの仕事とは
 

 今回は、これらの方法とは違う方法を考えてみたいと思います。
 
 
「名将というのは、士気を一変させて集団の奇蹟をとげる者をいうのであろう」
 
これは『坂の上の雲』で、司馬遼太郎が、ロシア軍のマカロフ中将を称して書いたものです。
 
坂の上の雲〈3〉 (文春文庫)坂の上の雲〈3〉 (文春文庫) (1999/01/10) 司馬 遼太郎
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戦争では司令官の戦略戦術や方針というものは、水兵に知らされることはなかったようです。特にロシア軍隊にあってはそうだったようです。

ところが、マカロフは自分の方針や軍の戦略戦術を水兵にまで教えているのですね。
水兵たちはマカロフの大戦略に昂奮して、戦意が上がっていたようです。
 
ここにモチベーションを上げるヒントがあると思います。


第一は、トップの考え、方針、戦略戦術を全員に教えていることです。
会社でもよくあることなんですが、役職者だけで会議をして、その内容が部下に伝わらないことがあります。

だから部下は部署の役割が分からなかったり、自分の仕事が会社全体の方針とどうつながっていくのかが分からなかったりするのです。
 
 
機械的に部下に仕事をさせていたら、やる気は起きないでしょう。
 
 
社長の方針や会社の方向性は明確に従業員に教えるようにしたほうがいいですね。
 
具体的には、経営計画書を策定して、社長の言葉を書面で伝えることです。
 
 
また、従業員と話す機会を意識的に作って、何度も方針や経営理念などを話すことだと思います。
 
10回、20回ではなく、1000回くり返す気持ちくらいでちょうどいいと思います。

二番目は、トップの話が、具体的で、かつ理にかなっており、成果が大きいことです。
 
詳しくは書きませんが、マカロフは東郷艦隊をこうやって全滅させるんだという作戦を水兵に教えています。
 
その作戦が具体的で、かつ理にかなっており、もたらす結果が大きいので士気が上がるんですね。

 
マカロフの作戦は、「なるほど、それなら勝てるな」というものだったのです。

ここがポイントで、遠大な計画や目標を掲げても、実現が不可能だと部下に思われたらパーです。
 
 
そうではなく、具体的に、これをやって、こうすれば勝てるんだと、理論的にも説明できると説得力が違うんです。
 
特に男性が多い職場では、論理的に勝利への道筋が説明できないと、うまくいかないでしょうね。


それと、作戦途中の失敗をトップがどう処理するかも大事です。

 どんな作戦でも勝ち続けることはないわけでして、目標に達するまでの途中の失敗(敗戦)にどう対応するか、そこを考えておかなければいけません。
 
 
では、目標に向かっている途中で、負け(失敗)があったとき、どう対応するか
 
 
戦略を立て、ある目標を立てても、途中で全く負けがないということはありません。
 
失敗したり、敗戦したりして、目標に進んでいきます。
そこでトップとして、あるいは上司として、どういった心構えが必要でしょうか。
 
ちなみに、ここでいう失敗とは、小さな失敗ではありませんよ。へたをすれば、戦略の変更を余儀なくされるくらいの大きな戦術上の失敗です。

ここも『坂の上の雲 三』(司馬遼太郎著、文春文庫)の東郷平八郎さんのエピソードが参考になります。
 
日本艦隊は、ロシアの旅順艦隊とバルチック艦隊という二つの艦隊と戦わなければなりませんでした。
 
日本艦隊はバルチック艦隊が来る前に旅順艦隊を味方の損害ができるだけない形で殲滅することでした。

 日本艦隊と旅順艦隊は戦艦の数が6隻対6隻と均衡していましたが、海戦の前に敵の機雷によって、一日で戦艦2隻を失います。33%の戦力減です。
 
旅順艦隊とバルチック艦隊を合わせると日本艦隊の倍の兵力なので、戦わずして日本艦隊の33%の兵力が落ちたとなると、絶望的な状況です。
 
この報告を聞いたとき、さすがに剛腹な参謀長、島村速雄も声をのみ、秋山真之は顔が凍結したようにしばらくまばたきをしなかったと司馬さんは書いています。
 
 
ところがです。
 
ところが、東郷平八郎さんは顔色も変えなかったそうです。

その後、敗残した艦長が、三笠にこの件の報告に来た時に、彼らは東郷さんの顔を見ることができずに、みな声をあげてこの悲運に泣いていました。
 
 
ところが、東郷さんは、「みな、ご苦労だった」と平然としていたそうです。
秋山真之は「おれがこのひとなら、こうはいくだろうか」と思ったようで、東郷さんは頭脳ではなく、心でこの艦隊を統御しているようだと思ったようですね。

結局、大失敗に際して、トップは動揺してはいけないのです。
例えば、売上が大きく落ちたときや、取引先が倒産したときなど、急に悪いことが起きたときに、トップが動揺してしまうと、部下は浮足立ってしまうのです。

では、動揺しないようにするには、どうすればよいでしょうか。
 
最悪のケースを事前に想定して、腹をくくっておくことだと思います。
 
会社だったら、「全部の得意先が離れても、新たに得意先を見つけにいく」気概だとか、全従業員が退職しても、「自分一人でもう一度やり直す」といった気概を持っておくことが大切なのではないでしょうか。
 
 
何が何でも最終目標をやり遂げる、一人になってもやり遂げるのだという気迫ですね。

 途中にどのような困難が来ても、自分の責任として飲み込んでしまう。
 
どんなにヤバイことが来ても、
「そうか。分かった。今日できることを今日しよう。今日も前進しよう。」と、気持ちを揺らすことなく、天命を信じていくことが大事ではないでしょうか。