千葉県柏市の経営コンサルタント

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横浜市西区の株式会社ビクトリー 古賀光昭  
    中国発大恐慌に備える経営とは
  
  会社の現金・預金の額を確認すること
 
(注:この記事は2014年に最初に書いたものに、最近の情勢を考慮して加筆しています)
 
米中貿易戦争によって、中国経済の後退が目に見えて現れてきた上に、新型コロナウイルスまで発生しました。中国経済が大恐慌を呼ぶようなことが近々起こる可能性があります。日本も無傷では終わりませんので、経営者の皆様は少しでも早く不況、大恐慌に対する備えと対策をされておくことが大切です。

では、どのような備えが求められるのでしょうか。

まず、中国に工場なり支店なりを進出している企業は、一日も早く撤退したほうがよいでしょう。

私はこの撤退を2011年からずっと言っているのですが、チャイナリスクという言葉があるように、中国はビジネスをするにはリスクの高すぎる国です。中国に生殺与奪の権を握らせてはいけません。

これからは中国産の食材や部品は入ってこないことも覚悟した方がいいです。

 また、中国に自社の製品、あるいは仕入れた商品を販売している企業は、中国での売上がゼロになった場合に、資金繰りがどうなるかをシミュレーションしてください。

要するに、中国向けの売上がゼロになるので、その分の入金が全くなくなったとき、会社の資金繰りがどこまで悪くなるのかを数字で把握してください。

それから、既に売った製品の入金がないことも覚悟しておいてください。最悪の状況のシミュレーションは必要です。

 

次に、2つのステップで確認してもらいたいことがあります。

最初のステップは、会社の現金・預金の額を確認することです。

そして次のステップは、「資金の出と入り」を確認することになります。

 

はじめに、会社の現金、預金の額を見てください。

現金、預金は月商の何カ月分、ありますか?

中小企業だと、月商の1か月分もないかもしれません。

すべての企業は、銀行から長期借入金を借りるようにしてください。それも借入できる最大限の額まで借りてください。業績がいい会社も、そうでない会社も関係ありません。とにかく今することはお金を借りておくことです。

できれば、社長の連帯保証のない形で、無担保で長期借入金を銀行に交渉してください。

必ず長期で借りるようにして下さい。長期の方が、財務は安定します。

大恐慌の時代には、少しでも多くのキャッシュ(現金)を持っておいて下さい。銀行が貸してくれる額の最大額で借りてください。


どうしても借金に抵抗がある方は、「実質無借金経営」でも良いです。「実質無借金経営」とは、手元の現預金と有価証券によって借入金を返せる範囲でお金を借りる事です。いつでも借金を返せる状態ですね。

この「実質無借金経営」ですと、返せるお金がありながら、それと同額のお金を借りるので一見むだなように見えます。

 

また、利益を出して内部留保する方法と借入では時間に大きな差があります。

例えば、税引前利益が1000万円の会社は税金を約40%納めて600万円が内部留保になります(注意:内部留保は600万円が現金としてそのまま残るわけではありません。あくまで計算上の利益額です)。

されど、税引前利益が1000万円あれば、5倍の5000万円の借入が可能になります。

600万円のお金を毎年貯めていくのが内部留保による無借金経営になりますけど、銀行から借り入れれば600万円の約8倍の5000万円の資金を手に入れることができるのです。

内部留保で8年かかるところを、銀行へ支払利息を払うことで8年の時間を数ヶ月の時間に短縮することができるのです。

8倍のスピードで時間を買えるのです。大きいと思います。

世界情勢が「危なくなる」と銀行も貸し渋りだすと思います。潰れる銀行も出てきます。

最優先事項として資金の手を打ってください。

 

  資金の出と入りに注意してください

現状の現預金の額をチェックされましたら、次に日々の経営の中で「資金の出と入り」をチェックします。


具体的には、資金が何に使われているかに注意してください。


よくコストというと人件費などの固定費がターゲットになりますけれども、最初に見るべきは不採算部門です。会社の中で不採算部門がないでしょうか。


色々なしがらみがあったり、意地になって撤退できない商売などがありませんか?

赤字だけれども辞められないビジネスはないでしょうか?

 

もし、そういう支出があるならば、すぐに出血を止めるべきです。将来性がない事業は、一日も早く撤退してください。

この決断が出来るかどうかが勝負です(これは、戦略的な意思決定になります。詳細な方法は私のブログを読んでみてください。少し内容は難しいです)。

事業を継続するかどうかの意思決定


将来性があるかどうかの判断ができるのは社長しかいません。

まず、現状の客観的なデータを見てください。
 
このときに注意しなければいけないのは全部原価計算では正しい数字が分からないということです。


詳細はここでは述べませんが、増分(ましぶん)計算をして、本当に赤字なのかどうかを見なければいけません。現状で粗利がある商品なら、それを削った段階で粗利分がマイナスして、余計に採算が悪くなります。


その他には使っていない建物や事務所、土地がありませんか?

これからの日本で不動産がしばらく上昇する局面はあまり考えられません。多少上がったとしても、東京の一部だろうし、しれていると思います。


不動産を売却して損失が出ましたら特別損失に計上できます。節税効果があり、経常利益がそれによってマイナスになることはありません(特別損失は、損益計算書の経常利益の額からマイナスします。経常利益は特別損失の影響を受けません。そして、銀行は営業利益と経常利益を見ます)。


売れるときに売却した方が良いです。


不動産は節税効果の面から見ると社内埋蔵金のようなところがあります。


 逆に、気をつけていただきたいのは、お客様につながるところのコストは削らないことです。

材料をケチって質を落とすようなことをすると、お客様は逃げていきます。

 

販売費用を削ると最も大切な販売活動が停滞します。


お客様サービスに直結しているところの費用や販売に関係する費用はむやみに削らないでください。


お客様に喜ばれないコストダウンだけは避けることです。

 

その他として、成果が上がらない専門家(社労士や税理士やコンサルタントなど)と顧問契約を続けていないですか?

専門家は何かあったときの単発でお願いするのがいいと思います。

 

また、今回の新型コロナウイルスでは、東京のような一極集中している都市のリスクの高さが浮き彫りになりました。

東京に事務所を構える積極的な意味がないのなら、どこか家賃の安いところへ移転するのも一つです。

 

それから大事なこととして、大恐慌時には、売上至上主義を辞めることです。

これからは売上の伸びない、超売上減の時代です。

売上を上げようと無理をすると、余計なコストがかかり、首をしめます。

売掛債権の回収リスクも高くなりますから、売上ではなく、お金を残すことを考えてください。

在庫も持ち過ぎないようにしてください。無駄な在庫を発注していないかを常にチェックしてください。

 

  お金の入りについて

前項では、お金の出について述べました。最後はお金の入りについて述べたいと思います。

入りについては売掛債権(売掛金、受取手形)の管理を確実に行なってください。

当たり前のことを書いていますが、担当者レベル、特に営業担当者に任せっきりになっている会社では、ずさんな管理になって、支払ってもらうものが支払われずになっていることが、ままあります。


へたをすれば請求書を出し忘れていることもあるでしょう。

社長自らが目を光らせてください。

社長が売掛債権をチェックしていると社員に伝わるだけで緊張感が出来、全然違う結果になるはずです。

できれば手形サイトを縮めてもらうか、現金支払にしてもらうなど入金が一日でも早くなるような交渉を担当者にさせてみてはいかがでしょうか?

営業担当者はお客様への頼みごとをするのを嫌がりますが、全得意先へお願いをしてみると、意外にも効いてくれる会社様があるかもしれません(実際、私がいた会社では協力してくれたお客様がいらっしゃいます。仮に値引きが条件という話になったら、入金が早くなった分の金利計算をして、判断すれば良いと思います)。
 
 
また、中国発の世界大恐慌になったら、与信管理も大切になります。

得意先の経営情報を再度チェックしてみましょう。与信枠の設定を臨機応変に変更するくらいの注意が必要です。こういうのを面倒臭がると後で後悔します。


ただし、万が一、得意先の倒産があったときのために、中小企業倒産防止共済(経営セーフティー共済)に加入しておくと良いです。

これは掛金が全額損金に参入できるスグレモノです。

 

12ヶ月掛金を掛ければ掛金総額の80%が解約しても返してくれます。また、取引先が倒産した場合には貸付をしてくれますし、得意先が倒産しなくても解約返戻金の範囲で貸付もしてくれます。


無担保、無保証人の制度ですし、40ヶ月以上掛金を支払うと解約時には全額を返金してくれますから、かなりの節税効果とリスク管理が期待できるでしょう。


売上と入金があることは、全く別のことであることを、社長と社員がしっかりと認識しなければなりません。

 

  最後に強いもの
 
資金の面から中国経済が崩壊した後の大恐慌への対策を述べてきました。当たり前のことを書いていますけれども、大恐慌のような極端な不況期においても頼れるべきは経営の原理、原則、基本だと思います。

私はそれが「お客様第一主義」と「資金重点主義」だと考えています。


常にお客様と資金から目を離さないことです。これが経営の原則です。


そして大切はことは、社長がブレないことです。


不可抗力の事態が次々に起きたら慌てるとは思います。プレッシャーもかかるでしょう。


しかし、意識してブレずに泰然自若としてください。


乗り越えられない壁はないと信じてください。仮に自己破産しても命までは取られることはありません。


最後は度胸がものをいいます。 

 「今までいろんな困難を乗り越えてきた。今回もどうにかなる!」と自分を信じ、最後は度胸で乗り越えることです。
 

腹が決まった人間は強いです。自分を信じ、社員を信じ、天を信じ、心を尽くしてください。きっと良い方向へ動き出すと思います。
 
                 古賀光昭です
 
神奈川県横浜市西区の経営コンサルタントでありセミナー講師。経営者にマネジメント・ソーシャルスキルの向上を指導している。夫婦経営の相談に乗ることも多数(笑)

セミナー講師としては、ポリテクセンター千葉&柏商工会議所主催 ドラッカー・マネジメントセミナー講師の実績がある(2020年度、2021年度、2022年度及び2023年度)セミナーは連続10回以上開催の長期セミナー。
 
 
1962年、福岡県大牟田市生まれ。しかしながら、兵庫県明石市や大阪府豊中市で育ったので、阪神タイガースファンの関西人(笑)
 
上智大学 大学院 博士前期課程 英米文学専攻修了  文学修士(Master of Letters   専門は英語学)

大手航空写真測量会社、上場硝子メーカー、上場IT企業等の人事・経営企画等のマネジメント職を経て、2009年7月に法人を設立し現在に至る
 
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過去の記事は、2,600回以上あります。読みごたえは十分です(笑)
 
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(こちらのブログは以前はペンネーム、古賀光明や孔明を使用していました)