2011年11月3日から12日までに、FC2のブログ「古賀光昭のビジネス相談」において、「ドラッカーと一倉定、そしてネクスト・ソサエティ」を連載10回で書いていました。過去ブログなので現在の読者さんが見つけにくいため、読みやすくするために、ここに転載することにしました。

ドラッカーと一倉定、そしてネクスト・ソサエティ

  

1.経済学と経営学の限界

アメリカ、ヨーロッパそして日本の経済状態を見ていますと、今までの経済学や経営学、経営理論の限界が来ているのかなという気がしています。

また、世界で有名なコンサルティング会社のコンサル手法も、問題解決能力に乏しいのかなと思ってしまいますね。

ボストン・コンサルティングやマッキンゼーとか、巨大なコンサルティング会社がありますけど、世界の企業を救うような経営理論を出してもらいたいものです。

マッキンゼーといえば、大前研一さんがいます。大前さんは雑誌『サピオ』に「増税か、デフォルトかの二者択一しかない」と日本のことを言っています。

私はギリシャのことを書いているのかと思ったのですが、日本のことを書いていまして(笑)、びっくりしてしまいました。

国債のほとんどが自国通貨建てで、かつ購入しているのが日本の金融機関、機関投資家、日本人が90%以上を占めている日本がデフォルトするはずはありません。


そう言えば、私が尊敬する長谷川慶太郎さんも「国債が紙くずになる」(!?)とおっしゃっています。

最近の長谷川慶太郎さんの予測を読んでいても、外れるものが出てきていますけど、あれだけの識者でも「これからの世界は読めないのかなぁ」と思ってしまいます。

著名なエコノミストでも、これからの見通しは読めないし、今の経営学、経済学や経営理論では解決方法を見出すのは難しいと言えるのでしょうね。


 

2.中小企業が参考にすべき経営手法とは

そうした大変な時代ですけど、やはりピーター F ・ ドラッカーは、偉大でしたね。

他の経営理論や経営手法、コンサル手法は、観念的といいますか、成功している企業を分析して「語呂合わせ」(例えば3Cのように)で体系化している印象があります。

しかし、ドラッカーは、ビジネス(経営)や社会の本質を突いて、理論が体系化されていたと思います。

『現代の経営』、『イノベーションと企業家精神』や『マネジメント』等、ドラッカーの名著はたくさんあります。

されど、これらの名著を読んで、その理論を社員規模が30人までの企業が実践しようとすると「内部管理」に重きが行って失敗する可能性があります。
 

ドラッカーは内部管理を説いているわけではないのですが、「経営管理」と聞くと、どうしても内部管理や社内の管理に思いが向きがちになるからです。


 また、ドラッカーの理論を咀嚼し、経営に活かすには、ある程度の経営資源が必要です。それには「学習する組織」などが求められるでしょう(詳しい説明は別の機会に)。


じゃあ、どうすれば良いかということになりますけど、小企業でしたら、私がお薦めするのは、経営コンサルタントの一倉定(いちくらさだむ)さん「社長学」ですね。

ただ、残念ながら一倉さんも亡くなられていまして、現在では本からしか学ぶことはできません。(「本からしか」と書いていますけど、直接指導を受けなくても書物から学べることの方が大きいこともあります。ただし、本は大手書店でも店頭では手に入りません。それと、弟子もいないそうです)。


私は20年前から一倉さんの「社長学」を勉強していましたし、たまたま一倉定さんのコンサルを受けた会社に勤めたことがありますので、その指導が会社にどのような変化をもたらしたかを見ることができました。


また、一倉定さんが尊敬し参考にしていたスター精密の佐藤社長のセミナー(スター精密の社長が数社のためだけに開いている非公開の財務・資金繰りの塾。たまたま私が勤めていた会社がそのメンバーだったので参加した経験がある)を学んだこともあります。


一倉定さんは述べておられませんが、ドラッカーの影響を相当受けていると思います。おそらく一倉定さんの経営手法の”ほとんどの理論”がドラッカーの『現代の経営』の具体化ですね。

 
一倉定さんは、ドラッカーが体系化して書いている部分で、大事なところを具体化して、それでコンサルティングをしていたのだと思われます。
 
また、ドラッカー以外だと、ランチェスター戦略や、スター精密の佐藤社長から財務的な面を参考にしたのだと思います。
 
 
3.一倉経営理論で考慮すべき点

ドラッカーは私が最も尊敬する人ではありますが、社員規模が30人くらいまでの企業はドラッカーの理論だけではなく、一倉定さんの書物も手に入れて勉強されると成果は上がると思いますね。
 
一倉さんの経営理論は、ドラッカー経営論を中小企業用に具体化したところがありますので、中小企業は、一倉理論も使うと良いですよね。

ただし、一倉経営理論にも、考慮しなければならない点があります。  
 
それは、一倉定さんの経営理論が書かれた時代は、インフレの時代だったということです。
 
確かに、不況期の経営についてのアドバイスはたくさんあるのですが、今の日本(2011年11月当時)のようなデフレ”環境の元で書かれたものではありません。

これは一倉さんの著書に限らず、デフレ時代に成功する経営方法を、ある程度まとめて理論立てしたものというのは、まだないのではないでしょうか(ユニクロの柳井社長のようにデフレ時代に成功した人の自伝的な書物はあります)。

現代の経済学や経営学、ビジネス論はインフレ時代に作られたものです。デフレに対応し体系化され、かつ成果を上げた経営理論というのは、まだ現れていないと思います。

インフレを前提にしてビジネスを考えるのと、デフレを前提に考えるのとでは、真逆になります。

それゆえ、一倉定さんの著書に限らず、経営に関する理論書を読むときには、著者が経済基調をインフレかデフレのどちらを前提にして書いているのかを注意しなければなりません。 これが一点です。


それから、もう一点。

一倉理論では「社長」のみに重点が置かれ、社員を軽視しているところがあります。会社は社長一人で決まるから、社員はほとんど「どうでもいい」存在と見なされています。

ここはドラッカーと対照的です。ドラッカーは、教育の大切さや知識の大切さを述べていますし、社員の“強み”を活かす人事を薦めています。

ところが、一倉定さんは「社員は、さぼるものだ。人材は社内にはいない。できるやつは自分で社長になっている。人材待望論は間違いである。」という感じですね。

ある意味、マキアベリズムからいくと一倉定さんの意見は真実なのかもしれません。

しかし、社員に素晴らしい人材はいますし、社員の強みを活かすというドラッカーの発想の方が「組織として戦える」ので、私はドラッカーの意見の方が正しいと思っています。
 
組織論については、一倉定さんの経営手法の弱みではないでしょうか。


ただ一倉定さんが言いたかったことを推察しますと、社長は「社員に頼るな」ということだと思います。

社員に会社を何とかしてもらおうというような無責任な経営をするのではなく、経営トップである社長が何とかしろ!ということなんでしょう。


「経営に対する厳しい姿勢、命をかける気持ちが社長になくてどうする!」というのが一倉定さんの思いだと私は推察しています。 
 
 
 
4.ネクスト・ソサエティはどのような社会か
 
 さて、ここからは話題を転じまして、ネクスト・ソサエティが、「どのような社会になって、経営者やビジネスマンはどう生きていけば良いのか、何を参考にして経営をしていけばいいのか」を考えてみたいと思います。

まず日本のネクスト・ソサエティはデフレ社会であることを認識しなければなりません(ただし、大きな戦争や天変地異が起きるとインフレになる可能性はあります。また、日銀の黒田総裁が大規模な量的緩和をして、インフレにしようと頑張ってはいます。ただ、長期的にはデフレ傾向に戻ると考えた方がよいと思います)。

経済学や経営学や、経営戦略、コンサルティング手法は、ほとんどがインフレ時代に作られたものですから、デフレ時代に合わないものがあります。

一つは借入金に対する考え方です。

(古賀注;以下の説明はデフレ期の一般的な対応です。資金繰りが苦しい会社は、銀行からの借入金をお薦めします。また、世界大恐慌レベルの危機に備える場合には、別の考え方もあります。それにつきましては、2012年1月14日のブログに書いています)

一倉定さんは「借りられるだけの長期借入金を最大限に借りよ!」という主張をされていました。

経営者の方でも、ビジネスとは「銀行からお金を借りて、それを設備に投資したり、人員を増やしたりして、事業を拡大していくのが当たり前だろう」と考えておらえる方も多いでしょう。

インフレ時代には、お金の価値が毎年下がっていきますので、お金を借りれば借りるほど、現在借りたお金が未来には価値が下がり、実質借金が下がることになるため借入することは有利なことでした。


ところが、デフレだとお金の価値が毎年上がって行きます。いくら金利が今安くとも、お金の価値が未来に上がって行きますので、未来に行けば行くほど借金の負担は実質上がることになります。

ですから、ネクスト・ソサエティの企業経営は、借金をしない経営が正しい経営の方向だと思うのです。松下幸之助さんが生前におっしゃっていた“ダム経営”(会社に資金をできるだけたくさんプールしていく)が正解なんだろうなと思います。
 
 
 
5.キャッシュベース経営がネクスト・ソサエティの経営の姿
 
実はこの考えは、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』にも書いてあります。読まれた方は「土俵の真ん中で相撲をとる」という稲盛和夫さんの言葉を覚えておられるかもしれません。
 
稲盛和夫さんは松下幸之助さんの「ダム式経営」と同じ考えで無借金経営を考えておられたようですね。 インフレの時代にはたくさんお金を銀行に借りて、事業を広範囲に拡大していくのが上策だったと思います。
 
 しかし、デフレの時代には借金をすることは、あとあとボディーブローのように効いてきます。
 
すぐに無借金経営は難しいとは思いますが、稲森さんが「どうしても無借金経営でなければならない」と思って無借金経営を実現したように、ネクスト・ソサエティに経営をする社長の皆様も、無借金経営を少しずつでも進めていただけたらと思います。
 
 特に消費増税などがあると、売上が半減することがあるかもしれません。

そんな時に強いのは「お客様を持っている会社」はもちろんですが、もう一つは「キャッシュ」を持っている会社です。お金、資金をたくさん持っている会社が強いです。

儲かっている会社も節税のためにとはいえ、キャッシュアウトをなるべくしないようにして下さい。税金を払っても、その方が少しでも会社に内部留保が残るようでしたら、税金を払うことを考えて下さい(生命保険やリースを使う節税は「キャッシュアウト」が伴います。)。


稲盛さんが言われた「キャッシュベース」の経営が、ネクスト・ソサエティの経営の姿になると思います。

そして、会社を創業するのなら、銀行から借金をせずに、出資金を集めるか、自分で資金を用意して会社をスタートすると良いということになります。

あるいは、既に経営をしていて借金があるのなら、これ以上借金をしない経営をしていく、つまり儲かっていない事業を売却するか撤退することですね。

そして固定費(人件費、事務所経費等)をできるだけ減らしていくことです。

 
 
6.ネクスト・ソサエティの企業戦略
 
ところで、日本ではバブル崩壊後に「業界再編」とかいって、競合企業が合併を繰り返しています。都市銀行なんて、元の銀行が分からないです。

確かに市場占有率を上げるには、競合と合併するのが手っ取り早いです。

しかし、ネクスト・ソサエティでは、合併ではなく、「分割、分離」がトレンドとして考えられるのではないでしょうか。

儲かる事業だけを残し、他の事業を分離(小さな企業体になる)・売却して生き残っていく方法も良いのかなと思います。

拡大ではなく、できるだけスリムになって、動きやすい、機動力のある組織へ変革するのが、ネクスト・ソサエティでの企業戦略になってくるように思います。
 
そのためには、中小企業は外部の専門家をうまく使うのが良いでしょう。

中小企業では、経営企画や財務部門の専門家を雇う余裕が無い所が多いと思います。

いや、逆に雇わない方が良いでしょう。

経営企画や財務の人間は社内に常駐する必要はないわけですから、週に一回や二週間に一回、社内に来てもらう、あるいは困ったときに連絡して来てもらうか、対応してもらうような形でアウトソーシングすると、人を一人雇うよりもコストが安くなります。

変な話ですが、人を雇うと辞める心配がありますし、ハズレを引いた時のリスクもあります。両方にリスクがありますから、アウトソーシングを上手に使って「ダメなら即解約して別の会社に」当たれば良いのです。

 ネクスト・ソサエティでは、協力会社や協力者(アウトソーシング)の使い方がポイントになります。
 

本当に“会社に”必要な部門と人だけを雇うようにして、あとは全てアウトソーシングできないかを検討してみてください。
 
きちんと計算すれば、外製か内製か、どちらがキャッシュ上有利か分かります。計算して比較の上、判断するようにしてくださいね。

 これからはなるべく固定費をかけず、キャッシュをたくさん持つことがポイントだと思います。
 

ただし、専門家といっても、確定申告書を作るだけの税理士さんのような専門家ではだめです。節税も方法が限られていますし、税務署と見解が相違すれば、結局は税金は取られるので、節税に詳しい税理士さんといっても、あまり当てにしない方がいいでしょう。
 
経営の発想がある人、財務の考えが分かる人に頼むべきです。お金の正しい使い方が分かる人に頼むのが良いでしょう。 
 
 
7.円高の疑問 

さて最近の話題の一つに円高があります(2011年11月当時)。

 円高になると、すぐテレビに深刻な経営者の顔が登場します。私が不思議に思っているのは、「円建てで貿易をしている会社はないのかなぁ」ということです。

ドル建てで貿易をすると為替のリスクがいつもつきまといますから、対処している企業はどれくらいあるのだろうと思ったんですね。

すると、2011年の上半期、円建て輸出の割合は全体の42.2%もあるそうです。

意外や意外、円高で悲鳴を上げているのは、輸出全体の60%未満なんですね。

そして、日本の輸出依存度はGDPの“たった”11.4%なので、円高で困っている企業は実はそんなに多くないのかもしれません(G20の中で日本より輸出依存度が低い国は、アメリカとブラジルのみ)。


テレビで深刻な経営者の顔を映して放映すると、ほとんどの日本企業が円高に泣いている印象を受けてしまいますけど、実際のところは(少なくとも私が思っていたよりは)少ないのではないでしょうか。

それと私が思うのは、こうした外国為替のリスクに対応した保険商品はないのかなという素朴な疑問です。

為替はリスクであることは間違いないので、保険商品がもしあるのなら、輸出しているメーカーは入っておくべきでしょうし、無いのなら保険会社が新商品として検討すべきだと思いますね。

これはドラッカーも『ネクスト・ソサエティ』の中で書いていたことだと思います。保険商品としては面白いと思うんですけどね。


それから、こうした円高で悲鳴を上げているメーカーですけど、ネクスト・ソサエティでは農業のように補助金を受けるようになるのではないかと思います。

国が何らかの補助をして、その会社(製造業)に雇用と技術を守ってもらうという方法ですね。

私は今の農業が悪いと思っていませんし、悪い意味では言っているのではありません。

仕方がない部分として、円高で困っている製造業は現在の農業と同じような存在になるのではないかなと思っています。

しかし、円高で苦しんでいる企業がありますけど、ネクスト・ソサエティの日本では「円高」が強みになると思っています。


その理由をお話しする前に、ネクスト・ソサエティがどういったものになるのかをできるだけ考えてみましょう。

ピーター・ドラッカーが『ネクスト・ソサエティ』の中で「ネクスト・ソサエティはまだ到来していない。しかし、ネクスト・ソサエティに備えてとるべき行動については検討できる段階に来ている」と書いています。

すなわち、我々は異質の次の社会(=ネクスト・ソサエティ)に入る“ほんの手前”いる状態だということですね。



8.ネクスト・ソサエティはギスギスした社会

 ただ、どのような社会がやってくるのかを推測はできるということになります。

私が若いころの未来社会の絵というと、「リニアモータカーが走り、家の中には様々な電気製品がコンピュータ管理され、医療も格段の進歩をしている明るい未来」でした。

ところが現実はどうでしょう?

バラ色の未来というよりは、とてもギスギスした社会
が到来していると思います。

確かに医療は発達しました。テレビも綺麗な画像が映り、携帯電話も益々便利なものになっています。

しかしながら、全てのものにスピードが求められるようになり(時間短縮や効率化)、人間の処理能力が追いつかなくなりつつあるように思えます。

ネクスト・ソサエティは知識社会であり、知識社会は「競争社会」です。

知識を得た人は成果をあげ、人の上に立つことができます。ところが、知識は日進月歩に新しくなるので、油断して知識を吸収していないと、より知識を持った者に簡単に負かされていきます。

通用しない知識を持っている人は落ちこぼれて、昨日の勝者が簡単に今日の敗者になってしまう厳しい社会が知識社会です。

既に今の日本がそうですね。


また、知識社会は成功者にも代償を求めます。これはナポレオン・ヒルも書いていたことですが、成功には代償が必要です。

成功するためには、相当勉強しなければなりません。そのためには費用も時間もかかります。ハードな仕事も要求されるでしょうから、家庭や恋愛を犠牲にすることもあるでしょう。

それに、成功者にも成功した者の精神的なストレスがあります。人間とは不思議なもので、一見成功していても、それ相応の重い苦しみがあるものです。

知識社会の競争の中に入ったら、勝ってもストレス、負けてもストレスなのです。

ネクスト・ソサエティへの備えを間違えると、夢の様な明るい未来(社会)ではなく、ギスギスしたとてもつらい未来がやってくると思います。

では、私たちはどうしたらいいのでしょうか? 


9.ネクスト・ソサエティへの備えの基本

ネクスト・ソサエティへの備えの基本になることは、政府(政治)や行政を当てにしないことです。国や市の公共機関が何かやってくれることを前提に考えるのではなく、自分達の力で生き筋を見つけていく(自助努力)考えを持つことだと思います。


といいますのも、政治は今後大きな政策判断を間違える可能性があります。また、税収が減っていくと予測されるので、満足なサービスやセーフティーネットがどこまで出来るか分かりません。

それゆえ、ネクスト・ソサエティでは、うまく行かなかったときに「たまたまセーフティーネットがあった、儲けもの」、位の考えで丁度いいと思います(現在の日本ではセーフティーネットは様々にありますから、手はあります)。


要するに「自分達で生きる道を切り開く意志が、知識社会であり、少子高齢化社会のネクスト・ソサエティでは必要である」ということですね。

『中小企業白書』によると企業の廃業率は6.2%です。「会社の寿命」は平均16.6年になります。おそらく、これからは更に企業の寿命が短くなるでしょう。

逆に年金を貰える額は減り、貰えるようになる年齢も上がっていくので、「労働者としての寿命」は70歳や75歳までに伸ばさなければならなくなるでしょう

20歳くらいから働くとして、50年以上何らかの仕事をして収入を得なければ生活ができないわけです。

今、どこかで働いて収入がある人も安穏としていてはだめです。

45歳未満の人は、今の会社がそのままの姿で残って、65歳まで同じように働けると考えないほうが良いでしょう。

倒産したりリストラがあったりして転職をするなり、雇用形態が変わるなり(契約社員など)、非常勤やパートタイムの掛け持ちを経験する人の方が多くなるでしょう。

仮に運が良くて定年の65歳まで職がある人でも、その後10年ほどは数社を渡り歩いて仕事をしなければならなくなるのです。

「とにかく働くことが好きだ!」という人はいいです。でも、そんな人ばかりではありません。

そこで大切になってくるのは人生観や価値観です。



10.より大切になってくる人生観や価値観

 自分自身がしっかりとした価値観や人生観を持って、それに基づいた働きを続けないと良い仕事もできませんし、仕事自体が苦痛になるでしょう。生きていくことも苦痛になるはずです。

「自分が何によって貢献していきたいのか、何がしたいのか」に“素直に従って仕事をしていくべき”だと思います。自分が価値を感じるものに対して知識を得ることを惜しまず、努力を続けていくことです。

そうでなければ、年齢を重ねて仕事を変えて働いていくことはできません。

そしてネクスト・ソサエティ全体でも、大事な価値観を人々は共有すべきだと思います。

それは、「相手をわかってあげる」ことです。「理解してあげる」こと「分かり合うこと」です。

自分の周りに見える他人には色々な事情や家庭環境を抱えて人生観を持って生きています。その相手の気持ちや考え方を分かってあげること、理解してあげることが、とても大切だと思います。

それは相手を全て肯定して、反対に自己否定するという意味ではありません。

場合によっては、相手を理解した上で注意をしたり、叱ったりすることも必要です。

自分自身に対しても尊い思いは持ちながらも、相手をことを分かってあげた上で接していくことです。

それがギズギスした競争社会を少しでも緩和する価値になるのではないかと私は思っています。

 
11.ネクスト・ソサエティで可能性のあるビジネスとは

ネクスト・ソサエティについて述べてきたわけですが、次の異質な社会は知識社会になるので、結局、日本人は知識を売ることを考えるべきなんですね。
 
ここでやっと円高の話に戻ります。
 
円高がなぜ強みになるかというと、日本人が今まで得てきた知識を海外で教えるビジネスがやりやすくなるからです。

 新興国は日本のような先進国と同じような道を辿ります。それゆえ、新興国に行って実際に見てみると、これから何が流行るか、必要とされるようになるか、大体分かるはずです。
 
 
日本は世界の最先端を一応は走っていますから、日本が体験したことや乗り越えてきた知識は海外で必ず役に立ちます。

 海外で新しい事業のコンサルタントをするのも良いでしょうし、いっそのこと海外で雇われ社長になって、事業経営をするのも良いでしょう。
 
 「勝ち易き市場」に出向き、勝つのが上策です。そのためには円高は追い風になるのです。

海外ではまだまだ人口が拡大して大きく発展する国がたくさんあります。日本人が力を発揮できる場はたくさんあるはずです。


あるいは、円高を利用し海外の有望企業を買収する手もあります。

円高、円高と悲鳴を上げるのではなく、発想を逆にして、もっと円を強くして、海外の有望企業を買って日本に本社を置き雇用を増やす方法もあります。


ネクスト・ソサエティの日本は少子高齢化社会ですから、経済の大きな発展を期待できません。 また日本国内では激しい競争が続きます。

しかし、発想を変えてみれば、海外には有望な市場はありますし、日本人の技術力や知識、時代の先を行っている強みがあります。

 日本の漫画や映画、音楽でしたら、世界中で通用するでしょう。
 
日本のコンテンツは世界一だと思いますから、まだまだ海外に大きく広がる可能性があります。

日本では当たり前のものが世界にはありません。

それらを教室で教えていくことも良いでしょうし、経営の形で教えていくことも良いでしょうね。
 
ネクスト・ソサエティの日本から世界に旅立ってビジネスをするには円高は強みになるでしょう(語学が苦手だという人は心配要りません。強い円を使って通訳を雇えば良いのです) 。


それから、大恐慌時には教育ビジネスが流行ったそうです。ネクスト・ソサエティも社会人教育のビジネスはもっと広がると思われます。
 
なぜなら、知識社会では知識は常に陳腐化するため、知識の吸収を怠ることはできないからです。

 日本では資格系の学校がほとんどだと思いますけど、資格だけではなくビジネスに活かせるような交渉力、判断力、コミュニケーション能力等を実践的に教えてくれるようなスクールや、社会人になっても頭の良くなるような指導をしてくれる塾などが流行るかもしれません。
 
怪しい所ではなく、システマティックに地頭を良くしてくれる学校や人間性を高めてくれるようなスクールも可能性があると思います。

今までは本を読んで個人で学んでいたことを、システマティックに教えてくれるパブリックなスクールは発展の可能性が高いでしょうね。
 
 
12.最後に
 
「ドラッカーと一倉定、そしてネクスト・ソサエティ」と題して書いてきましたが、 今までの内容を三点にまとめておきます。

1.中小企業はドラッカーよりも、一倉定さんの経営理論を参考にすると良い
  (従業員数500人未満が目安)   
ただし、インフレ時代の理論なので、いくつか考慮すべき点はある。


2.日本のネクスト・ソサエティ(次の社会)はデフレが基調であるので無借金経営を目指すべきである。
(ただし、世界大恐慌などが起きる局面では、資金余裕を持つことを優先して長期借入金を早めに借りておくようにする)
  外注や外部専門家、アウトソーシングを使って固定費を下げるのも一つの方法である。


3.ネクスト・ソサエティはバラ色の未来ではなく、ギスギスした社会だと予測される。
  それは少子高齢化社会であり、知識社会であり、競争社会である。


さて、ネクスト・ソサエティでは、誰もが勝者になるチャンスはありますが、同時に誰もが簡単に敗者になる社会でもあります。

自分の考える成功が一つしか無い、「これだけが自分の成功だ!」と思い込んでいる人は、つらいと思います。

人から尊敬される地位につきたいとか、お金をたくさん稼ぎたいとか、色々な目標なり欲はあると思うんです。

それはそれで必要な部分はあると思いますが、もしそれが達成出来なかったとしても、「自分の人生はダメだ」とか、「自分は人生の敗者で終わりだ」などと思い込まないでいただきたいのです。

経済的な成功を得ることは尊いですけど、仮に経済的な成功を得ることができなくても、それはそれで立派な人生を生きていくことはできるのです。


会社で成功しなくても、家庭で良き父、良き母であることはできるでしょう。良き子ども、良き兄弟であることもできるでしょう。地域のボランティアでお年寄りや子供たちのお役に立つこともあります。あるいは、会社内で後輩社員の良き相談相手になることだってあるんです。

高度な競争社会で、競争に破れて降格されたり、左遷されたり、場合によってはリストラされることだってあるでしょう。後輩が上司になって、アゴで使われることだってあると思います。


でも、流れが変わることもあります。人はちゃんと見ていますので、またチャンスが訪れることもあると思います。

仮にスポットライトをまた浴びたいと思っていて、それが達成出来なかったとしても、自分だけの人生、自分だけが経験した人生は尊いものです。ある意味、宝物です。

辛い経験をしながら、他人への思いやりが深まったり、人の痛みが分かったりするようになります。自分の器が大きくなったことを実感できるはずです。 決して捨てたもんではありません。


どのような境遇になろうとも、歯を食いしばって生き筋を見つけて行ってください。

私はそうした生き方自体が「光かがやく人生」だと思っています。頑張っていきましょう。
 
以上です。 
    
      
  
           古賀光昭です
 
千葉県柏市在住の経営コンサルタント。コンサルティングは、人事、財務、経営計画書策定を得意とし、社外No.2の総務部長として社長へのアドバイスを行っている。また、夫婦経営に関する相談も多い。
 
仏教とドラッカー経営理論を融合させて体系化した「仏教的トップマネジメント」を編み出した。また、経営成功法を体系化した「仏教的経営成功法」も創案した。

仏教的シリーズを作成しているが、本人は僧侶ではなく、特定の宗派を代表しているのでもなく、ごく普通の民間人(笑)。
 
昭和37年福岡県大牟田市生まれの56歳、妻と1男1女で千葉県柏市に住む。でも兵庫県明石市や大阪府豊中市で育ったので、熱くてオモロイ阪神タイガースファンの関西人(笑)。
 
上智大学 大学院 博士前期課程 英米文学専攻修了  文学修士(Master of Letters   専門は英語学。指導教授は、渡部昇一先生)

大手航空写真測量会社、上場硝子メーカー、上場IT企業等の総務人事・経営企画等のマネジメント職を経て、2009年6月に独立し現在に至る。
 
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(こちらのブログは以前はペンネーム、古賀光明や孔明を使用していました)