増分計算を活用しましよう                        

増分(ましぶん)計算というものをご存知でしょうか?

この計算方法は簡単で単純なものですが、覚えておくと経営の意思決定にとても役立ちます。

増分とは「ある決定によって変わる部分」のことです。決定によって増えるのが増分で、減るのがマイナスの増分になります。

例えば売上高が10%増えた場合、利益はどれくらい増えるのでしょうか?

この増える分が「増分」になります。

表によって具体的に説明しましょう。 


表1                                   (金額単位は千円単位です。)

 

基 準

 

基準☓1.1

 

基準☓0.9

 
   売上高

100,000

100%

110,000

100%

90,000

100%

粗利益

40,000

40%

44,000

40%

36,000

40%

人件費

20,000

 

20,000

 

20,000

 
経費

8,000

 

8,000

 

8,000

 
減価償却費

2,000

 

2,000

 

2,000

 

30,000

 

30,000

 

30,000

 
 

営業利益

10,000

10%

14,000

 

6,000

 

わかりやすくするために、この会社の粗利益率を40%と設定します。粗利益率は、粗利益を売上高で割ったものです。

粗利益は売上総利益とも付加価値とも呼ばれるもので、売上高から外注費や原材料費を引いたものになります。外部支払った費用を売上高から引いたものとご理解ください。

表では売上高を100%とし、その下に粗利益率を40%と記しています。

そして基準値を100,000千円(1億円)とし、売上高が10%増えた場合と、10%減った場合の営業利益の差を比べてください。

売上高が10%増えたケースでは、営業利益が1千万円から1千4百万円と40%増えています。

この40%増えた分が増分(ましぶん)です。
 

逆に売上高が10%ダウンしたケースでは、営業利益が6百万円となり、40%減っています。これがマイナスの増分です。

売上高は10%増えたり、減ったりしているのに、営業利益では40%増えたり、減ったりしています(仮に営業外収益、営業外費用があったとしても、増分率は変わりません)。

ここで分かることは、売上高の10%の上下が、利益になると40%も上下に大きく変動するということです。

 

表を見ていただくと、売上の増減によって変化しているのは、粗利益だけ(仕入や外注費など売上に関わる外部費用の増減だけです)であるのがお分かりかと思います。


内部費用(固定費)は、売上の10%の上下くらいではほとんど変わりません(厳密には、社内で作業をする会社の場合だと残業代が少し増えることはありますが、売上が増えた分の5%くらいしか固定費は増えないと言われています)。

 

これを見ていただくと、売上高を確保することがいかに大事かがご理解いただけると思います。

 

次に注目していただきたいのは、粗利益を左右する外部費用についてです。
シミュレーションしてみましょう。

 

表2

 

基 準

 

基準☓1.1

 

基準☓0.9

 
   売上高

100,000

100%

110,000

100%

90,000

100%

粗利益

20,000

20%

22,000

20%

18,000

20%

人件費

5,000

 

5,000

 

5,000

 
経費

4,000

 

4,000

 

4,000

 
減価償却費

1,000

 

1,000

 

1,000

 

10,000

 

10,000

 

10,000

 
 

営業利益

10,000

10%

12,000

 

8,000

 

 

上記の表2では、粗利益率を20%としました。これは外注費を増やして、自社の内部費用を減らしたパターンだと思ってください。


外注費を増やし、その分、社内の人件費、経費を減らしたケースをシミュレーションしています。


表1と違って、売上高の増減に対し、営業利益の変化が縮小しています。
10%の売上増に対し、20%の利益増。10%の売上減に対し、20%の利益減です。

もう一つ、全てを内作している会社をシミュレーションします。

 

表3

 

基 準

 

基準☓1.1

 

基準☓0.9

 
   売上高

100,000

100%

110,000

100%

90,000

100%

粗利益

100,000

100%

110,000

100%

90,000

100%

人件費

60,000

 

60,700

 

60,000

 
経費

25,000

 

25,300

 

25,000

 
減価償却費

5,000

 

5,000

 

5,000

 

90,000

 

91,000

 

90,000

 
 

営業利益

10,000

10%

19,000

 

 

このパターンは、サービス業などで、仕入が全くない会社のケースです。


そして外注に仕事を出さずに、社内で全て作業をしていると考えてください。それゆえ、粗利益は売上高とイコールになります。


売上高が10%上がると、営業利益は1,900万円になり、90%もアップしています。

(注;売上高が10%上がると固定費(内部費用)は増分の3~5%増えると言われていますが、このケースは社内で全て内作していますから、10%と多めに費用を出しています。)

 

ところが、売上高が10%下がった場合は、固定費が下がらないため、営業利益が0となり、100%ダウンとなってしまうのです。

(注;表3は営業利益率を10%としてシミュレーションしています。もし、営業利益率が20%と設定すると、売上高に対応する増分プラスマイナスは、10%の半分の量になります。具体的には、10%の売上増→利益50%増。10%売上減→50%の利益減。)

 

ここで私が言いたかったことは、表2は外注費を使っているため、売上高が減少した場合のクッションができているということです。

一見、粗利利益率が下がって、収益性が下がっているように感じるかもしれませんが、外注を上手に活用することによって、閑散期の売上高減少に耐えられる体制になっています。


逆に、表3のように全てを内作としていると、固定費が大きいために、売上高の減少をもろに受けてしまうということになります。


 季節変動に苦しんでおられる企業は多いと思います。


正しい経営判断をするために、増分計算を使って、色々なシミュレーションをされることをお薦めします。

増分計算のポイント直接原価計算の要領で計算することです。

売上高-変動費(外部費用)-固定費(内部費用) この順番で計算することですね。

 

  外注先へのリスクマネジメント                        

今日は、事業経営の中で、様々なリスクに対し、どのような対応をしておけばよいかについて書きたいと思います。


いわゆるリスクマネジメントですね。


リスクマネジメントは何かが起きたときの対応よりも、起きないようにするにはどうすれば良いかを考えるのがポイントです。


今回は、協力会社(取引先、外注先)の管理についてです。

取引先に関しては、「入り」(取引開始前)の段階で必ずチェックして下さい。

何をチェックするかを具体的に言いますと、社員が新規取引先(外注先)を見つけてきて、取引をしたい(仕事を発注したい)と言ってきたら、必ず新規取引先申請の用紙に、企業情報を書かせて、社長が見るようにして下さい。

 

これをしないと簡単に不正が行われる可能性があります。

例えば、私がある会社を辞めて、会社を作ったとします。仕事が欲しいので、以前の会社の部下なり、気心の知れた人に声をかけるとしましょう。

 

そして、仕事をまわしてくれないかとお願いをするとしますね。その時に、「受注額の1割をバックするから頼むよ。」と言うのです(実際に私はしませんよ)。

 

もっと悪質になると、受注だけして、実際は業務をしないこともあるかもしれません。


例えば、20万円の仕事を出してくれたら(伝票上の受注であり、実作業をしない)、5万円を現金で渡すから、発注書を切ってほしいと言う方法です。

 

これは経理がグルだと簡単に成功する方法です。

 

別に経理がグルでなくても、一つの案件で何社かの外注先が絡んでいるときに、数十万円の金額であれば、その金額が必要か無駄かを見つけるのは難しいです。


仮に営業部が外注先に依頼をするような会社なら、業務管理部や経理部では、金額の細かいことまでは、まず分かりません。

 

自社の担当者と取引先がグルになったら簡単に不正ができますし、周りがその不正を見つけるのは難しいでしょう。

 

中小企業だと、担当者だけが仕入先、外注先への支払い内容を把握して、上司はチェックせずに(精査せずに)承認しているケースが多いのではないでしょうか。

こういう会社だと不正は簡単に行われてしまいます。

 

私も人間を性善説で捉えたいですが、会社があまりにもスキを作っていると、社員の心にも出来心が芽生えかねないので、注意して下さい。

 

協力会社(外注先)は、社長がよく知っている会社で、信頼できる会社だけと付き合うのがベターです。


ただどうしても、事業を進めていると取引先も増えていきます。

 

日々の取引の中で不正を見つけるとしたら、常に監視しないといけなくなり、現実的に社長が日々の取引までをチェックすべき問題ではありません(社長はお客様の所へ行かなければなりません)。

 

それゆえ、「入り」(取引開始前)で、きちんとチェックをするのです。

これも社長が書類で事前にチェックするというだけで、変な業者が入りにくくなるはずです。

申請書だけではなく、商業登記簿謄本や決算書の提出を求めるのもいいでしょう。

 

円満退社で辞めなかった社員が、役員や社員で、その協力会社にいるかを見るのも必要です。
 
社内に仲の良い社員がいれば、いいように操作される可能性があります。

やるべきことを、きちんとやるだけで全然違う結果になると思います。

それともう一点。

協力会社への支払いは社長が必ず目を通してください。そして、そのことを社員にも伝えてください。
 
これが抑止力になります。

さすがに全ての支払いの詳細を検証することまではできないと思いますし、それは経理の管理職者の仕事でしょう。

しかし、支払いリストを見てください。そして、経理から出される支払先の金額リストを見て、「これは何の支払いだ」と、たまに聞くようにすると効果的です。

社員は「社長は何も見ていないや」と思うと、協力会社に頼まれるままに、お金を払おうとします。
 
例えば、外注先が担当者に「今回は前金で払って欲しい」とお願いするとします。担当はいい顔をしたいので、払ってあげようとするんですね。

そして、それを経理に頼むわけです。
 
「何とかしてあげてよ」と、経理にお願いに行くのです。

経理も人間ですから断るのは基本的に嫌でしょうし、いいところを見せたいという気持ちもあります。

自分以外誰も資金の出を見ていないのなら気づかれることもないので、「じゃ、やってあげるよ」と、いいカッコをしてしまうわけです。

 ところが社長が必ず支払いをチェックするとなると経理も断りやすくなるのです。

「社長が全部見るからダメだよ」と断れるんですね。

社長がチェックするというのは、ある意味経理を守ることにもなるんです。
 

会社を守ることになりますけど、社員も守ることになるんですね。

問題が起きないように事前に手を打っておくことが、リスクマネジメントです。

 
    
      
  
           古賀光昭です
 
千葉県柏市在住、経営思想家であり、社長のビジョン実現化の支援をする社外No.2型の経営コンサルタント。経営計画書の策定や夫婦経営のアドバイスも得意としている。
 
「仏教思想」とドラッカー経営理論を融合させて体系化した「仏教的トップマネジメント」を編み出した。また、経営成功法としての体系化した「仏教的経営成功法」を考案している。

仏教的シリーズを作成しているが、本人は僧侶ではなく、特定の宗派を代表しているのでもなく、ごく普通の民間人(笑)。
 
昭和37年福岡県大牟田市生まれの55歳、妻と1男1女で千葉県柏市に住む。でも兵庫県明石市や大阪府豊中市で育ったので、熱くてオモロイ阪神タイガースファンの関西人(笑)。
 
上智大学 大学院 博士前期課程 英米文学専攻修了  文学修士(Master of Letters   専門は英語学。指導教授は、渡部昇一先生)

大手航空写真測量会社、上場硝子メーカー、上場IT企業等の総務人事・経営企画等のマネジメント職を経て、2009年6月に独立。
 
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(こちらのブログは以前はペンネーム、古賀光明や孔明を使用していました)